壺井栄さんの声
昨日の夕方、
家の表の雪かきをしていたら
初老の紳士に声をかけられた。
雪沢山降りましたね。
娘さんと雪かきですか?
ご苦労様です。
ところで、こちらは壺井栄さんとご親戚かなにかなのですか?
いえいえ、ただご縁があってこちらに
住んでいるんですよ。と私。
聞いてみると、この長身の紳士は
小説家で婦人科の女医でもあった
常安田鶴子さん「十代の性典」などを書いた作家さんの息子さん。
お孫さんの送り迎えの途中
お母様の常安田鶴子さんは
これまた、近所にいた画家の三岸節子さん、壺井栄さん三人はとても仲良しで、
よく行き来していたそうだ。
この紳士も、壺井さんの家にお使いでお届けものによく来た。と話してくれた。
紳士曰く、壺井栄さんは、
低くよく響く声の持ち主で、それがまたとても美しい声でした。
あんな美しい声の人には、なかなかお会いした事がないと。
壺井栄さんの声か。
考えた事もなかった。
印象が立体的になる。
なんだか得した気分。
いい雪かき。
よく晴れた冬の午後。
冷たい空気